弐拾七時頃の空に。

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広川は安田と岩井の後ろを歩いていた。 「何処まで行くんだよ…」 息を切らしながら二人に訊いた。 「黙って着いて来いよ…」 安田はそう言うと振り返って微笑んだ。 「お前同級生だろ、これくらいの坂でそんなに息切らしててどうするんだよ…」 「そうだぞ…。高級車ばっか乗ってると体力落ちるぞ…」 二人は顔を見合わせて笑った。 「待ってくれよ…」 その後ろで広川の情けない声が聞こえた。 「ほら、頑張れビジネスマン…」 岩井はそう言って笑った。 「あのコンビニまで行くぞ…」 坂の上に光るコンビニを指差して広川に言った。 「ほら、どうした…。俺たちのとっておきの場所に連れてってやるから…」 安田も広川に言う。 「コンビニがとっておきかよ…」 額から汗を流しながら広川は呟いた。
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