弐拾七時頃の空に。

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邦雄の運転するトラックは深夜の海岸沿いの公園へと入って行った。 幾つかのパイロンを薙ぎ倒し、トラックは公園の中を走る。 そして、海岸の近くに停めると、圭二に声を掛けた。 「ここで上げるぞ…」 圭二は驚いた様子で、 「上げるって六尺玉をですか…」 そう訊く。 「他に何を上げるんだよ…」 苦笑しながらそう言うと邦雄はトラックを下りて荷台を開ける。 慌ててその後を着いて行くと、圭二は荷台の幌を剥がすのを手伝った。 そしてクレーンでゆっくりと筒を下ろし、今度は六尺玉に縄をかけた。 「本当にここでやるんですか…」 圭二は何度も邦雄に訊いた。 「怖いなら帰っていいぞ…」 邦雄はそう言うとニヤリと笑った。 「こ、怖くは無いですよ…」 邦雄は三脚を立ててビデオカメラをセットした。 自分の作った六尺玉を撮影するつもりだった。
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