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サービスエリアにトラックを止めて、邦雄と圭二はラーメンをすすっていた。
「腹減ってると何でも美味いですね…」
圭二はテーブルにあった胡椒をラーメンに振りかける。
その言葉に邦雄は周囲を気にしながら、
「黙って食え…」
そう言った。
「食ったら急ぐぞ…長岡まで、まだまだだからな…」
「わかりましたよ…」
圭二は残ったラーメンをすすった。
するとポケットでスマホが震えている事に気付いた。
ラーメンを食べながらスマホを出すと、画面には「社長」の文字が浮かんでいた。
「邦雄さん。社長から電話ですよ…」
圭二は口の中をラーメンでいっぱいにしたまま言う。
「バレたんですかね…」
「知るか…」
邦雄は面倒臭そうに言うと圭二に背を向けた。圭二はそれを見て仕方なくスマホの画面にタッチした。
「はい、圭二です」
邦雄は自分の食べた丼の乗ったトレイを持って返却口へと向かった。
そこで圭二を振り返るとまだ電話をしていたので、先に店を出て、タバコに火を点けた。
まったく…。
どこまで邪魔するんだよ…。
あのクソ親父…。
邦雄は暮れた空を眺めた。
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