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三橋たちと別れたあと、七月は、もうめんどくさいから、今日の晩ごはんはコンビニ弁当にしようと思っていた。
慣れた明るい道だった。
だから最初は気づかなかった。
向こうからそれが迫り来ていることに――。
影――。
行き交う人々の間に落ちる影がひとつ多い。
何故、地面を見てしまったのか。
いっそ、気づかず通り過ぎればよかったのに。
人がまばらだったので、人波に隠れることなく、それが見えてしまったのだ。
七月は動揺をその影に悟られないよう、平静を装い、真っ直ぐ歩く。
逃げ込めるコンビニを目前にして、その影とすれ違った。
緊張のあまり、足がもつれそうになった瞬間、耳許でその声が聞こえてきた。
『……な、つき、
ちゃん……』
七月は堪らず駆け出し、コンビニに駆け込む。
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