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始業式。
欠伸をしかけた途中で妙な具合に止めたので、七月は顎を外しかけていた。
そして、目の前には、見てはならないものが居るっ!
そちらを見まいとしたのだが、壇上にそれは上がってきた。
「やった!」
と横で無邪気に手を叩いているのは、友人の、時子だ。
「先生、帰ってきたんだ!」
いや、帰って来なくてよかったんだが……と七月は新任の挨拶を述べている、無表情だが端正な顔をした男を見た。
教師というより、俳優でもやったほうがよさそうなその男を初めて見た一年女子がざわつく。
いや、男子もざわついている……。
何故だ。
まあ、私も、去年の途中までは帰ってきて欲しいと願っていたんだけどな、と七月は、新任教師の槻田を見ながら思う。
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