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「隠れてっ。
先生が来るっ!」
端に机を寄せて開けた図書室の中央。
黒魔術の本を手にしていた七月が抑えた声でそう叫んだ。
教師の見回りだ。
床にチョークで魔方陣を描いていた三村と三橋は寄せていた机の陰に隠れる。
七月も側にしゃがむと、
「なんだかんだで、お前が一番本気でやってるじゃねえか。
どんだけ槻田を呪ってるんだ」
と三橋が小声で言ってくる。
「いや、一度始めたからにはやり遂げないと」
と七月が言う頃には、近づいてきていた教師の足音は消えていた。
すでに外は真っ暗だ。
月の灯りとわずかなロウソクの灯りだけを頼りに魔法陣らしきものを描き上げる。
最後に線をつないだ三村が、
「やった!」
と声を上げた。
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