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「やったわね!
おめでとう、三村くんっ。
頑張ったわね、三橋っ」
と七月は、三村の健闘をたたえ、細部を描き切った三橋を褒めた。
よかった、よかったと手を取り合い、達成感の中、和気藹々としたムードになる。
が、
「よしっ、じゃあ、帰ろうか」
と七月が本を机に伏せたとき、
「待て」
と三橋が冷静な声で止めてきた。
「魔方陣を描き上げるのが目的じゃなかっただろうがっ」
ちっ、バレたか……と七月は手にしかけた机の上の鞄をまた置いた。
このまま誤魔化して帰ろうと思ったのに、と思いながら、
「あ、もう帰らないと、門限だから」
と七月は言ってみたのだが。
「お前、一人暮らしだろうがーっ」
と三橋に睨まれる。
父親の転勤に母親もついて行ってしまったので、今、二人とも海外で、七月はマンションに一人暮らしだった。
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