568人が本棚に入れています
本棚に追加
七月は三橋の足許を見て言った。
「そういや、あんた描き上げてから、一歩も魔法陣の中に入ってないわね」
「だって、怖いじゃないか!」
本当にロクな奴じゃないな……と思いながら、七月は言う。
「だいたい、学校に置かれてるような本で、悪魔なんて呼び出せるわけないでしょ?
それに、なんでそんなに融通きかないの?
別に人間を生贄にしなくたっていいじゃない。
料理だって、レシピにある材料がなければ、他のものを使うのよ。
なんか変えなさいよ」
「何がレシピだ」
そのとき、途切れ途切れにニュースを読む声が聞こえてきた。
少し進んでは、同じところに戻ったり、まるきり音声が途切れたりしている。
振り返ると、いつまでもくだらない言い争いをしている自分たちに呆れたのか、三村は窓辺の棚の側で、スマホのテレビを眺めていた。
最初のコメントを投稿しよう!