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三村も居なくなったあと、時子が呟く。
「惜しいわよね、三橋くんて。
顔も頭もいいけど、その変人っぷりで台無しっていうか。
三橋くんの中に、三村くんが入ったら、いい感じになるかも」
まあ、あの顔から陰険さが抜けたら、そう悪くないかもとは思う。
女形的な美形とでもいうか。
「でも、それなら、まんま三村くんでいいんじゃない?」
「いやあ、私は、スレンダーな人の方が」
「三橋だって、中年になれば太るわよ」
三村くんの頬、つついたら気持ち良さそうだが、と思ったとき、目の前の廊下を歩いてきたものが居た。
その姿に気づき、時子が小さく声を上げる。
「でもやっぱり、槻田先生よね。
三橋くんとかと違って、男らしい感じだし」
乙女は移り気だ。
怒っていいぞ、三橋……。
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