Love

ガタンッという大きな物音で目を覚ました。

何事だろう、と枕元のリモコンを手探りしている間に、ぱっと視界が明るくなった。部屋の明かりが灯されたのだ。

「お前……部屋の入口に掃除機置いてんじゃねーよ」

どうやらさっきの物音は、掃除機にぶつかった音らしい。脛をさすりながら、痛そうに顔をしかめる彼の姿がそこにあった。

3週間ぶりに見る彼。思わず緩む口元を、布団で必死で隠した。

「……何しに来たの？」

できるだけ抑揚のない声で、わたしは尋ねる。

「別に。鍵。返しに来ただけ」

この部屋の合鍵をつまんでぷらぷらさせながら、彼もぶっきらぼうに答える。

……そっか、そうだよね。

わかっていたことなのに、胸が軋む。

もう勝手に口角の下がった唇を、ぎゅっと噛み締めた。苦しい。