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結月は月夜の顔をジッと見つめる。 「見ない内に綺麗になったわね」 「そ……そうかな」 月夜は照れ臭くなり、視線を反らす。 「誰かに恋してるでしょう?」 結月の指摘に、月夜は頬を赤らめる。 「えっ、何で分かるの」 「分かるわよ、月夜の姉だから、相手は誰?」 結月は悪戯な笑みを月夜に見せた。月夜は言うか迷ったが、正直に伝えようと決めた。 「隣の家の弦真(つるま)くんよ」 「弦真くんか……」 結月は感心したように言った。弦真は双子の幼なじみで、高校生になった今も同じ高校に通っている。 「いけない?」 「そんな事ないよ、弦真くん優しいし、月夜には合うと思うよ……いつから好きになったの?」 「去年の学園祭からかな、私がポスターを作成している時に弦真くんが手伝ってくれたんだ。ポスターの締め切りがギリギリだったから助かったよ」 月夜はその時のことを思い出して、気恥ずかしくなった。ポスターの件がきっかけで幼なじみの見方が変化したのだ。 弦真を見る度に胸が高鳴り、頬が熱くなるのだ。 「月夜は昔からギリギリにしか行動しないからね」 「もう……」 月夜は困った顔を結月に見せた。確かに自分は昔から時間ギリギリで動く、そのため夏休みの宿題も夏休みが終わる一週間前に慌ててやるのだ。 それに比べて結月は夏休みが始まってから宿題を終わらせるので、その辺は尊敬している。 「まあ、頑張りなさいよ、月夜の恋が上手くいくことを姉として応援するわ」 結月は月夜の肩に触れて柔らかな声で言った。結月の手からは温もりを感じ、幽霊とは思えなかった。 これも神様の力なのだなと月夜は感じた。
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