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「河合さん、大丈夫ですか?」  どうにかこうにか終わらせた会見の後、心配した夏目が缶コーヒーを手渡してくれた。 「あー……、ハラハラさせてごめんね。社長の無言の圧に助けられたよ。」  自分の前に置いてあったマイクをON・OFFにして音を立ててくれた事で我に返った。  恐ろしくてその後の社長の顔を見ることができなかった。 「それについては特に何も言ってませんでしたから、大丈夫ですよ。」 「だといいけど。」  それにしても、ヒジカタ氏は一体何者だ?  こんなところにいるという事は、このホテルの建設に携わっている?  いや、それなら昨日あんな作業着でいるのも変か。 「やあ、司会お疲れさん。」 「あ、雨宮社長!この度はお忙しい中お時間を頂戴致しまして……。」  突然掛けられた声は、K建設の雨宮社長。このホテルの建設を一手に任せた大手ゼネコンの社長。 「いやいや。今日は西脇くんは来てないのかな?残念だなぁ。」 「西脇は色々仕事が多くて。」  相変わらず雨宮社長は西脇さんにご執心だ。  同級生・スペイン人と二度の離婚をして、今は3番目の奥さんとの間に小学校に上がるかそこらの子供がいるはずなのに、元気な事だ。 「あんないい女がこんなジイさん相手にする訳ないだろ。」  えっ。
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