76人が本棚に入れています
本棚に追加
「怖い?」
「知られたら、魂とか吸い取られそう。」
「ふっ、俺は死神か?」
「似合いますね。」
言うなぁ、と天を仰いで笑う。
そういう仕草の似合う男だ。
「じゃあ……そうだな。ハスネって呼ぼうか。」
「ハスネ?」
純粋にはてなマークが浮かんで、素直に聞き返す。
「蓮根のきんぴら、好きそうだからさ。」
そうは言っても『レンコンくん』とは言いづらいだろ?とニヤリと笑った。
「……じゃあ、こっちはヒジカタさんって呼びます。」
「ヒジカタ?」
新撰組?と頭に浮かんだのが目に見える。
答えは教えず、ざる豆腐を頬張った。
フロントが勧めるだけあって、ここの店は旨いものばかりだ。ざる豆腐もコクがあって美味しい。1人こっそり舌鼓を打った。
「本当に旨そうに食うな。こっちはその顔で食えそう。」
ヒジカタ氏がヒジをついて、色気を増した瞳で軽口を叩く。どこまで本気なんだろう。
「変な事言うのはやめて下さい。」
「美人を見たら口説くのは、男の本能なんだよ。」
「酔ってるんですか?」
「アンタにね。」
「……。」
なんなんだこの男は。
最初のコメントを投稿しよう!