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「日本酒いけるか?一緒に飲めよ。」  日本酒は嫌いではない。けれど、強いわけでもない。まして明日はミスのできない仕事がある。断わろうとした時、滅多に市場に出回らない銘柄の4合瓶が席に届いた。 「な?」  こっちの表情を読んだ男が、してやったりと口角を上げた。 「……おい、大丈夫か?」 「……れす……。」 「こりゃダメだ。」  大丈夫です、と言ったのにヒジカタ氏は笑って店員を呼んだ。  覚えているのはそこまでで、気付けばホテルの目の前までヒジカタ氏引き摺られるようにして立っていた。 「明日、大事な仕事なんだろ?これ飲んでさっさと寝ろ。アラームかけ忘れんなよ。」 「あー……。」  フラフラする足でなんとかフロントで鍵を受け取り、エレベーターへ向かう。その足がもつれて転びそうになったのを、背後からヒジカタ氏が抱きとめてくれた。 「ったく、危なっかしいな。部屋まで送るか?」 「だい……じょぶ……」  ふう、と大きなため息の後、カシッと音がして口唇に何か押し付けられた。  途端、冷たい水が口内に流れ込んで、条件反射でそれを飲み込んだ。
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