プロローグ

1/4
前へ
/24ページ
次へ

プロローグ

 「ハリー王子!しっかりしてください!」  老執事オリヴァーは病床に伏せるハリーの手を握り、必死に呼びかける。しかし呼びかけも(むな)しく、徐々にその表情は陰っていく。  それでもハリーは、苦しそうに息を吸いながら言葉を(つむ)ぐ。  「俺は今、とても幸せなんだ。俺の代は、戦争も災害もなかった。そんな時代を生き、皆に看取られながら逝けるなんて、俺は幸せ者だよ。  欲を言えばもっとずっと、この国を見守っていたかった。それが唯一の心残りだよ」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加