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「ここじゃない?」
地図によるとここに間違いない。
「でも、ここ森じゃん。」
璃緒は、嫌そうな顔をした。
「みて、ここ。昔の道路だよ。ほら、コンクリート、」
夏子は、地面を触りながら言った。
「コンクリート?」
「授業聞いてなかったの?なんか昔使ってたやつだよ。あの…道とか壁に!」
璃緒は、ため息をついて見せた。
「寝たかも…」
「あのさ、そんな寝てたらオリジナルに廃棄されるよ!まあ、もうみんな放棄されたけど」
オリジナルは、数が増えすぎたクローン達には、安全かつ生きてくためのものを用意できなかったのだ。
彼らは、地球を捨てていく。
「璃緒、夏子。ホントありがとう。」
急に改まった私を見てふたりは不思議そうな顔をした。
「ふたりとも、大好きだよ。」
「そういうの私、照れちゃうじゃん。だから言ってなかったなって。手紙も書いちゃった。」
そう言ってふたりに手紙を手渡した。
「あとで読んで。」
そう言って私は、森の中に走っていった。
しばらく走ったら門らしきものがみえた。
たくさんの檻も。
「なんか、寂しそうなとこだね。」
夏子が小さくつぶやいた。
そこは、私の家のようだった。
「俺らとさ。おんなじ。人間達に飼われて救えなくなったからっておいてかれるんだな。」
「動物達と私達って何もかわんなかったんだね。」
「ね?恵。あいつらが、私達の命を今も握ってる。どっかで観戦してるの。私達の死に様を。苦しんでく姿を。私。そんなの嫌なの」
夏子は、苦しみ混じりの涙を見せた。
「俺も。言えなかったけど。だって、みんなと最後まで一緒にいたかったから」
「そんなこと、言わないでよ。もしかしたら生きれるかもしれないのに」
夏子は、苦しそうに私の顔を見た!
「その可能性は、どれくらい?」
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