私と夏子と璃緒

1/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

私と夏子と璃緒

あなたは、誰かに愛されたことがあるだろうか。 誰かを死んでもいいほど愛した事があるだろうか。 死にたいって思ったことがあるだろうか。 もう死んでも悔いはないだろうか。 明日、世界は滅亡するらしい。 最近気温が急上昇し、みんな酸素マスクがないと生きてけなくなった。 明日にはもう、地球は木端微塵になるらしい。 よくわからないけど、まあみんな死ぬってことらしい。 この日、学校にはクラス36人中3人しか来なかった。 「先生っ。私死ぬんですか?って先生も来てないけど」 「しょうがないでしょ?明日世界は滅亡するんだから。」 私の一言に、本を読みながら夏子は反応した。 「さみしーねー。なんか…」 「俺もいるじゃん?そんなこと言うなよ。」 璃緒は、ふざけて言った。 「あぁー!もう、あんた達となんて居たくなかったのに!!」 「じゃあ、帰ったら?」 夏子の自己中加減にはもううんざりだ。 この世界は、自分一人のものだと思っているんだろうか。 「みんな、何してんのかな?」 璃緒が椅子を反対向けに座りながら言った。 「自分のしたいことでしょ。それは、」 私は、小さい声でそういった。 「ふぅ〜ん」 「何?聞いといて興味なさそうじゃん、」 「いや、俺らなんでこんなとこいるのかなって思って」 「だよね」 「そんな簡単にやりたい事なんてみつからないからでしょ。」 夏子がガスマスクのズレを直しながら言った。 「私ね。これ。外してみたかったの。だって、家以外つけてるし。これ外して美しい景色。見てみたかった…」 「いーじゃん。やろーよ」 璃緒がバカみたいに言った。 「無理だよ。これ外したら私達。2分も生きてられないんだから。」 私は、ガスマスク越しに写真を見た。 「これ。動物園なんけど。」 「え!動物園?初めて見るっ!!」 私が言い終わる前に璃緒が飛び出してきた。 「動物園の跡地に行きたい。」 動物園。もうこの世界には存在しない。 動物達は生きていけなくなってしまったのだ。 昔、写真で見て手放せなかった。 「行こ。恵が行きたいならついてく…」 そういったのは、夏子だった。 私達は、人類少数化社会を生きるクローン人間の一人。 私達は、誰にも愛されることもなく、愛することもなく社会の歯車となり生きていくのが定め。 私は、しょせん、一部の人類のオリジナル達のペットなのだ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!