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薄暗くて少し肌寒い。煙草の煙と照明が包む空間。演者のステージが始まる前は少しだけざわざわしていて、みんなが好きにおしゃべりをしたり、ドリンクを買ったり、好きなように過ごす。ライブハウスの雰囲気って大好き。
先輩たちのライブを見にくるの、何回めだろう。サークルのライブを除いて...... 、だめだ、覚えてない。あぁ、早く始まらないかな。
辺りを見回して、知り合いがいないか確認する。大学の軽音サークルで結成されたバンドだから、たまにライブにはサークルのメンバーも来ている。
私は先輩たちのバンドが、曲が、大好きだから、バイトがない限りは顔を出す。
ーー知り合い誰もいないなぁ...... 。あ、優子さんがいた。
優子さんは最前の左側にちょこんと立っていた。左側はベースがよく見える位置。優子さんの彼氏の、センパイの前。あんな目の前に彼女がいるなんて、センパイ緊張しないのかな。
ライブハウス全体にかかっていた音楽がだんだんと小さくなる。ざわついていた人たちも静かになり、ステージにの方を向く。照明がゆっくりと暗くなっていく。一瞬全ての音がなくなり、ライブが始まった。
ギター、ドラム、ベース全てが好き勝手に音を出し、さあ今から始まるぞと場を盛り上げる。
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