その夜

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「っ……!」  甘い感覚が鈍い身体に走る。そこでようやく開いた目が映したのは、至近距離にある見慣れた人物の顔だった。  そして状況を理解する。裸のマリィが俺の上に覆い被さっている。彼の右手が俺の乳頭を指で捏ね回していて、反対の手で俺の両手を押さえ付けている。口内に舌を入れられて舌を絡め取られている。俺は膝を立てて足を広げたような格好で、全裸で横たわっている。そしてそんな状況だって言うのに、どうやら酒の力も相まって身体の方は高まっているらしい。俺の中心は何かを期待するように頭をもたげていた。 「っ、何してんだよっ……! やめろ! 離せよッ!」  唇を離したマリィに、畳み掛けるように叫ぶ。それ以外、抵抗できるところが無かった。マリィは顔色一つ変えずに俺を押さえ付けたまま、何かボトルのようなものを手に取る。片手で器用に蓋を取ると、それを俺の下半身に向けて傾けた。  透明の液体が下腹部に触れた瞬間、ひやっとして身体がびくりと反応する。マリィはボトルを床に置くと、ぬるりとしたその液体を自分の手に絡ませながら、先端から同じような透明な液体で濡らした俺の茎の頭を撫でた。 「あ……!」  びりっと電気のようなものが身体に走る。それが、彼が手を動かす度に続き、あまりの気持ち良さにそれを止めようという気にもならなかった。身体が熱く、腹の底に燻る疼きを感じながら、その愛撫に身を委ねた。
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