彼女の名前は

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彼女の名前は

あ初恋の瞬間はいつだろうか… 話している時か、一緒にいる時か、初めて会った時か、皆の初恋の瞬間は色々あるだろう……俺には悩みがあった 「おい、そこ!まだ授業中だぞ!!」 先生の声が聞こえる 閉じていた目を開けクラスを見渡す まだ授業中…ヤベーまさか寝てた? 「まったく、授業中に寝るとは余裕だな」 後ろの席のやつが話しかけてきた 俺は渋々返事をする 「別に…お前もいつも寝てるだろ?」 「お前ほどじゃねーよ」 こいつの名前は白河冬野(シラガトウヤ) 名前の通り白い頭でいつも笑っている 俺の友達の一人で、一緒に放課後、毎日帰っている 「そこ!白河!授業中に喋るな!!」 「すっ…すいません!」 先生に怒られ、俺と冬野は口を閉じた しかし、俺の声は聞こえなかったようだ、よし! 「えーと…次の問題は指名でやってもらうぞ」 マジかよ、全然聞いていないんですけど… 俺は焦る、何故なら問題をまったく聞いていないからだ、指名されたらマズイ 「それじゃあ、主席番号24番!」 「はい」 たしか24番はあの人だ……俺の初恋 青のロングヘアーに整った顔立ちの彼女が俺の隣を通り過ぎた うん、やっぱり… 「いつ見ても可愛い…」 小さい声で言ったから声は聞こえていないだろう 黒板に回答を書いてチョークを置く 「正解 だな、席に戻っていいぞ」 「はい……」 答えを書き終えた彼女がもう一度となりを通り過ぎた、良い匂いがした、これはバラかな? 彼女はいつも良い匂いがするな、うん 席に着いた彼女をクラスの女子が話しかけていた 「流石〜、名前の割に頭良いww」 「本当よねーww名前の割に!」 彼女が気にくわないのか笑いながら名前をバカにしていた …デリカシーが無い奴らだ 彼女は慣れているのか平然と座っていたが、それでも名前をネタに話しかけていた 「どうしたらそんな頭良くなりますか〜?ネットプリンセスさんwww」 「………」 こりない奴だな、と俺は呆れていた そう、彼女の名前はネットプリンセス 本名は沢北ネットプリンセス…信じられないかもしれないがこれが本名だ、あだ名じゃない ネットとテレビで見かけるキラキラネームだ キーンコーンカーンコーン 授業終了のチャイムが鳴り響きた 最後の授業だからあとは掃除と帰りの会だけだ 掃除は毎日20分で行われるからすぐ終わるし帰りの会も案外すぐ終わった 「よーし!拓真帰ろうぜ!」 いつもなら冬野と帰るが今日は用事がある 「すまん、用事があるから先帰ってて」 「用事?…もしかして!告は「違う!!」 まったく冗談はよせ 冬野は少し寂しそうな顔をしたが笑顔で「分かった!じゃあなー!」っと言って先に帰って行った 「よし!やるか…」 さっきも言ったが俺には悩みがある 実はまだ沢北さんと喋ったことがない、同じクラスになってから一度もだ 毎日2人きりになれるチャンスを待っているが一向に来なくて今日も話しかけるチャンスを伺っている 彼女が教室から出ていった (今日こそ喋れますように…) 彼女の後を追う、言っておくがストーカーじゃないからな 後ろからこっそり着いていくと彼女は屋上に入っていった 放課後は部活や帰りで人がいないことが多い (何するんだろう…) 後から屋上に気付かれずに入っていくと ヒクヒク…… 泣いている音が聞こえる ……泣いている!? (誰か泣いているのか!?) 俺は驚いて屋上を見渡すと彼女がうずくまって泣いてた 「うっ…ヒク…」 泣く姿も可愛…じゃねー!! えー、どうしよう!? 「ど…て……こん…」 耳をすませば何か言っていた 何だ?なんて言っているんだろう 良く聞こえない 「どうして…こんな名前で生まれてきたんだろう、皆は普通の名前なのに…ううっ」 初めて、彼女のあんな顔を見た 悲しそうに泣いている姿を初めて見た 「今日も名前のせいで馬鹿にされた、昔からこんなのばっかりで…もう嫌だ…辛い」 (……) まさか、ずっと我慢していたのか? 毎日ずっと…… 俺には彼女の気持ちは分からない、何て声をかければいいのか、泣いているのに遠くで見ているだけの自分が情けなく感じて来た (なんとか彼女を元気にしたい) でも無理だと分かる、多分何を言っても駄目だと思う 俺には…彼女の気持ちがわからないから 彼女の顔を見るのが辛くなってきた俺は何も出来ずに屋上から立ち去ろうとする時だ 「ここから飛び降りれば、楽になるよね」 ……えっ? 今なんて言った?? 「もう…死のう…」 おいおい、まさか自殺する気か? それは駄目だろう!? 気づいた時には彼女は屋上の柵を乗り越えようとしていた (止めないと!!) ここで見捨てたら人間失格だ、すぐに彼女の元に走ったあと飛び越える前に腕を掴んだ 「……えっ?」 彼女は驚いて俺の方を見ていた 俺 は焦っていた何を言えばいいのか 何て声をかければ良いのか 急がないと彼女は自殺してしまうだろう (えーと、えー……そうだ!) 悩んだ結果出た言葉を後から後悔する もっと他に良い言葉が合っただろうと 「俺と……俺と付き合って下さい!!」 それを言った瞬間、彼女は一瞬無言になったものの次の瞬間 「えっ…えぇぇ!?」 顔を赤くして戸惑っていた いきなり言われれば当然かもしれない 俺は後から自分が言った事に気づいて顔を赤くした
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