レベルアップ!

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レベルアップ!

「やあああ!!」 チイはナリスの剣の稽古についていた。 いつの間にやら勇者と家来の関係は弟子と師匠の関係に逆転してしまっていた。 チイはナリスの剣を弾く。 ナリスはチイに剣で押し倒される。 「はあぁ師匠もっとして…ちゃうお願いします」 「はあ…」 ナリスの剣の向上がまるで見えないと思ったチイは木刀を地に落とす。 「お前やる気が無いんやったら勇者なんかやめて今すぐ別の仕事でも探せ」 チイは呆れるようにナリスにこう言う。 そんな時ナリスがチイにしがみついた。 「嫌だ!チイ様と離れたくない!稽古も一生懸命励みます!強くなりますからどうか…!」 愛想をつかしかけたチイに向かい必死に懇願するナリス。 あまりに泣きながら必死に懇願してくるナリスにチイも捨てきれなくなり「わかったから泣くな!」とナリスの頭を撫でた。 「面倒見ても良えけんどその代わり条件がある!一ヶ月間のうちにウチ抜きで剣技と魔法を身につけえ、そして魔法を見てウチを圧巻させる事が出来たら考えてやるわ!」 冷たい言い方だがナリスには条件を満たしたら面倒を見てくれると信じて疑わなかった。 「わかりました!師匠の為なら私勇者ナリスは強くなってチイ師匠のお役に立てるよう頑張ります!」 ナリスは意気込み、剣と魔法の訓練に励んだ。 「やっ、ふっ、りゃっ!」 ナリスは剣の修行に励む、確かな手応えを感じレベルアップを自身感じていた。 おっと、剣の修行だけじゃなく魔法も覚えなければ…。 ナリスは魔法の習得を試みる。 するとそこにスカンクが現れた。 「あ、獲物発見!捕まえてチイ師匠に調理してもらおう!」 獲物を発見したナリスは剣を持ってスカンクに峰打ちを狙った。 スカンクを気絶させようと向かったナリスだったがスカンクに気づかれてしまう。 その刹那ものすごい勢いでスカンクは屁を吹いてその場を逃げ出した。 ナリスはスカンクのアンモニア臭の激しい屁でダメージを受けた。 「な、何という威力…この屁があればいかなる魔物も一網打尽に出来そうな…はっ!編み出したわ新たな魔法を!」 ナリスはスカンクの屁をヒントに新たな必殺技を覚えた。 一方チイは頭痛の種でもある教え子と離れられた事に安堵し、エブリスタを覗いた。 「お、栞増えとるな、ほなけど新エブリスタはどうも馴染めんわ、なろうとかにWNI移しても良えけんどな…」 その時新しい通知に目が付き、覗くと「KEIさんKEIさん♪」ととあるユーザーから書き込みが届いていた。 それを更に覗こうとすると「KEIさんKEIさん♪」とドアを開き気持ち悪いほどに満面の笑顔をチイに向けるナリスの姿が。 「け、KEIさんKEIさん?アンタウチのもう一つの名前なんでわかったん!?」 チイが狼狽えながらナリスに聞く。 「てへっ♪チイ師匠の携帯コッソリと覗いちゃいました♪」 その後強大な雷がナリスの頭上に落とされたのは言うまでもない。 ナリスは頭に大きなタンコブを作りチイは少し機嫌悪げに「で、どんなスキル覚えたんや?」とナリスに尋ねる。 その後よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに「私が覚えたのは攻撃魔法です!家の中では危ないから外で魔法をお見せしましょう!」 チイは自信満々に放つナリスに怪訝を感じながらもきっと凄い必殺技なんだろうなと期待で胸を躍らせたりもしていた。 ナリスは思った。 (ふっふっふ♪この魔法を見たら流石に師匠も私を認めてくださるに違いない!) 数時間前、ナリスは日頃の特訓の成果を試そうとスライムの群れと戦った。 くうっその数だと流石に手強いわ…。 剣のみでは苦戦は必須だった。 ナリスはそこで新たな必殺技を繰り出す事にする。 「くらえ!私の必殺技!!」 ナリスは新たに編み出した必殺技、いわゆる魔法をモンスターに繰り出す。 するとモンスターの群れは悶絶し、ピクリとも動かなくなった。 (手応えあり!!!) ナリスは太陽の光のように目をキラキラさせて自身の向上を感じた。 ーーー 「では行きますよ?」 「ええから見せてみい」 ナリスは構え、チイは呆れ半分に腕を組んでナリスを見据える。 するとナリスは懐から何かを取り出した。 ん、それは何や?とチイはそれを見たがそれはどうやら芋のようだった。 ナリスは取り出したものを口にいれモグモグとそれを食べる。 「来た来た来た来たキマシタワー!!!」 ナリスは凄まじい闘気を全身から噴出させ力む姿勢を取る。 Siriを突き出し力むナリス。 その時ナリスのSiriから凄まじいアンモニア臭を放つガスが盛大に噴出された。 ブオオオオオオオオオオオォ!!! 凄まじいアンモニア臭を放つ風はモンスターを悶絶させる程の威力を放ち、周囲をガス地獄に満たしてしまう。 その臭いは当然チイにも届き、そのあまりの臭さにチイは吐き気を催す。 「どうでしたか!?私の新たな必殺技…ウボァ!!」 チイから怒りの鉄拳がナリスに飛ばされた。 「ドアホ!勇者だけでなく女捨ててどないすんねん!!!」 関西人ならではの最高の突っ込みがナリスに放たれる。 評価は0点、ケイのように火を操るとかレキのように氷を操るなら評価出来たがナリスのそれは女のチイからすれば評価し難いものだった。 「そんなあー…」 ナリスはしくしくと泣く。 (ちょっと言い過ぎたかな?) 厳しいが同時に優しすぎるチイは少しはナリスの努力を認める事にした。 「さっきは言い過ぎたごめんな、下品な必殺技ではあるけどアンタの努力は認めたる、稽古はつけたるけんその代わり強くなりよ!」 「はいっ♪」 ナリスはチイの元で稽古を積み、剣に魔法にどんどんレベルアップを重ねた。 ララララタッタッター♪ ナリスのレベルが上がった。 「KEIさんKEIさん♪やっと私も本当の勇者らしくなりました!もう何も怖くありません!!」 「それは良えけど人の依頼安請け合いしたらあかんよ、まだ腕とか心許ないけん…(てかそのKEIさんKEIさん言うんやめえ)」 チイは念を押してナリスに注意を呼びかける。 そんな時モブの男性がこちらにやってきた。 「すみません、その剣…貴女はひょっとして勇者ですか?」 「そう!勇者ナリス・テンナコッテとは私の事だあ!!」 「言ってるそばから!」 チイは改めて勇者と呼ばれる事に慣れてないナリスに学習能力を覚えさせなあかんと思った。
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