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そんな思い出の詰まったメロディ時計も、
子供達がそのキャラクターのテーマパークに家族ではなく友達同士で行くようになった頃には、壊れて動かなくなってしまった。
今家のリビングにあるのは、この家を建ててからもう3代目の壁掛け時計だ。
そして、手がつけられないほどやんちゃだった双子の息子達も、今年で26歳。
長男・健と、次男・康。
私は狙いすぎで正直どうなのと反対したけど、夫が頑として譲らなかった二人の名前。
予想通り、小学校の時は友達から“健康兄弟”と呼ばれてからかわれたりもしてしまったようだけど、
今となってはこの名前のおかげか、二人とも大きな怪我も病気もなく逞しく成長してくれた。
大学進学と同時に二人ともこの家を出て、それぞれ一人暮らし。
健は中学校の数学教師、康は理学療法士として、忙しい日々を送っているようだ。
ようだ、と曖昧なのは言うまでもない。
最近二人とも連絡がすっかりご無沙汰だから。
便りのないのは良い便り、なんて言うけど……
ちゃんと食べてるのか、休みは取れてるのか、彼女の一人くらい居るのか……なんて、気になり出したらキリがない。
5歳の頃の、ママ至上主義な可愛い面影はどこへやら。
男の子というのは、一度手が離れたらあっという間にどこまでも遠くへ行ってしまうものらしい。
ふぅ……と小さくため息を溢しながら、
フレンチプレスで一人分のコーヒーを淹れる。
キャン!キャン!
「はいはい、待っててねー!」
先程から庭で飛び回ってる愛犬に向かって声を掛けると、
私は淹れたばかりのコーヒーを片手に、リビングのガラス戸を開けてウッドデッキに足を踏み入れた。
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