新たなる者

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新たなる者

 僕は自称クレイジージョー。この名前もかなり有名になってきたね。良い感じだよ。  今日も僕はワンマンショーに没頭するつもりだけど、こんなことを始めたのは、一昔前に名を馳せた成美ちゃんに憧れて始めた訳じゃないぜ。僕は僕なりの哲学を持って行っているから。  さてと、まずは獲物の物色から始めようかな。  僕は獲物に関しては特に拘りを持たない。適当に街中をふら付いて、獲物にしたい人間を見つけたら、そいつを手中に収めて、好き放題やる。  それだけさ。  後の事はどうなっても僕の知る所ではない。  僕は夜の街中をふら付く。僕は結構イケ面だから、怪しい人間に思われたことが無いからね。そういう意味では、犯罪者向きってことさ。  犯罪者……。  そんなちんけな存在じゃないぜ。  救済者さ!  悩める子羊達に夢を与え、明るい光さす未来へと導く者さ。  その証拠に、僕に憧れている輩が増え始めているんだぜ。  そうさ!  皆、僕のようになりたいんだよ。  自由を求め、皆に夢を与える救済者に!  笑いが止まらないぜ!  さてと、そろそろ始めようか。僕がワンマンショーを行うために必要な物を揃える儀式を!  ネオンが点滅を続ける通りを、一人、何も考えずに歩き続ける。獲物を見つけるのに必要な物は、無の境地に達する純粋な気持ちだ。余計な考えは邪魔になるだけさ。  ふらふらと歩いていたら、見つけたよ。  茶色のコートを着て、一人寂しく歩いている長い黒髪の女性を……。  昼間は一生懸命何処かで働いているんだろうな。見た感じは真面目な感じの娘だ。  けど、背中から漂い感じてくるのは、負の感情的なオーラだけだね。  僕には分かるのさ。その人間が抱えている負の感情ってやつがさ。ただ真面目に働いて、その日を過ごしているだけの人間なんて、負の感情をしっかりと溜め込んで生きているだけだからね。  生きていることに、きっと嫌気がさしているに決まっている。人生に疲れているってやつさ。  だから……。  僕が解放してあげるよ。  君を自由で夢のある世界へと誘って上げるよ。  僕はその娘に気づかれないように近づき、スタンガンで意識を飛ばす。  後は、倒れ込んだその娘を上手く抱き抱え、介抱するような感じで連れ去る。僕は身体は痩せているし、腕力には自信が無いから、連れ去る時はいつもこんな感じさ。背後からスタンガンの一撃で意識を飛ばす。何処かのお姉さんはかなり腕力に自信があるみたいけどね。  僕はワンマンショーをやる場所は事前に探しておく。  常に場所は変える。  当然だろ!  たった一回しか行う事が出来ないショーをやるための特別なステージなのだから。  僕は予め探しておいた廃屋へと、意識を失った娘とのドライブを楽しむ。  因みにこの車は、当然盗んだ車だぜ。車なんて持つこと自体がナンセンスさ。その辺にたくさん転がっているんだ。少しくらい僕が使った所で、何の問題もないだろ。  カビ臭い空気の漂う、廃屋の中央に意識を失い、両手首と両足首をロープで縛り上げた娘を転がす。彼女が身にまとっていたコートはあっという間に黒ずむ。  彼女は弱々しい声を上げ、意識を取り戻す。 「ここは何処なの!貴方は誰!」  彼女は自分に起きた異変に気付き、大声を上げると同時に、甲高い声を張り上げて悲鳴を上げる。  僕がお腹を思いっきり踏みつけたからね。  彼女の声は咳き込みながらの喘ぎ声に変わる。  これからショーを行うんだ。叫び続けられると、ショーに集中出来ないよね。ショーを行うには、人知を超えた集中力が必要なんだぜ。  僕は笑い声を上げながら、彼女のお腹や胸を、何度も踏みつけるように蹴り続けた。  彼女は弱った喘ぎ声を上げながら、身体をぴく、ぴくと震えるように動かす。  僕は彼女の両手首を縛った所に新たなロープを引っ掛けてロープを引っ張り、彼女の両腕を伸ばし、そのロープを柱に縛り付ける。更に両足首を縛っている所にも同じような事をして、彼女をI字型にした。 「さてと……。今からショーを開始するよ。これは、君を束縛する全ての物から、君を解放するためのショーだぜ!」  僕は笑みを浮かべながら、彼女に話しかけ、手斧を握り締める。  彼女の胸を目掛け、僕は力任せに手斧を打ち下ろす!  彼女の悲鳴が響き渡ると同時に、手斧が確実に彼女の肋骨まで達したことを確認する。  彼女の胸を右足で踏みつけ、思いっきり引っ張る。飛び散る鮮血。彼女の骨から解放された、喰い込んだ手斧をじっと見つめる。  今の骨に喰い込んだ瞬間に感じた感覚……。  素晴らし過ぎないか。  君が解放されていく瞬間をこの手にしっかりと感じ取った瞬間だよ!  飛び散り、跳ね上がる鮮血の生温かさを浴び続けながら、僕は何度も彼女の胸やお腹に手斧を叩き落とす。  手斧が彼女の肉を切り裂き、骨を砕く音と感触を、しっかりと感じ取りながら。  彼女の悲鳴は息が詰まったような声に変わり、ついには声すら発しなくなって、手斧が叩き込まれる度に身体を、びく、びくと震わせるだけになってしまった。  彼女は身体をぴく、ぴくと震わせながら、何かを訴えかけるような瞳をかっと開いて、ただ僕をじっと睨み続けている。 「そろそろ、自由と夢の世界へ旅立せて上げる」  僕はそう呟き、彼女の顔面に力任せに手斧を叩きつけた!  手斧は彼女の顔面に深々と喰い込み、顔面を真二つに割るかのような勢いで、しっかりと喰い込み、僕の力では抜けない状態となった。 「終了……。君は解放された……」  僕はそう呟き、彼女の血で、廃屋の壁に書き記す。 『C・JYO』と……。
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