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会わざるえない者
ジョーく~ん。私のお返し、気にいってくれたかな。
これは簡単な挨拶だからね。本番はこれからだよ。君はこれから『エリーナ 作品7』を作るつもりかな。短絡的な君らしくて素敵だよ。
けど、君は『エリーナ 作品7』を作れない。
何故なら、その前に私に仕留められるから。君を『エリーナ 作品7』にして上げる。
ラッキーセブンだね。
笑いが止まらない。
楽しくなってきたよ。
ジョーくん。
もう動き出しているよね。
そのくらいじゃないと、世間の笑い物だよ……。
まずはクレイジージョーの動きを推測して、先を行かないとね。殺し行う場所は、今回は廃屋じゃなくて、使用されていない倉庫だよね。そうしないと、私へのお返しにはならないよ。
移動は盗んだ車でやるよね。私も車を盗まないとね。
それと、情報収集をしないと……。
私は裏通りにある、今にも廃業しそうな雰囲気を醸し出している、ネットカフェのような店に入り込む。
防犯カメラなんてないだろうけど、事は短時間で済まさないとね。私の顔写真は全国に出回っているから。グラビアアイドルをやっていた時より、有名になってしまったからね。
私は受付を済まし、薄暗い部屋に入り込み、暗幕のような物で仕切られているスペースに入り、パソコンに向かう。
ニュース関係のサイトで一通りの情報を掴み、コアなサイトも覗いてみる。
クレイジージョーに関する情報は特に掴めなかったが、意外な物を見つけた。
それは、かつて私がグラビアアイドルをやっていた時に使用していたSNSのサイト。しかも、まだ私のアカウントが残っていた。私は驚きながらも、かつて自分が利用していたサイトを覗いてみる。
かつてのファンからの書き込みを見て行く。流石に止まっているよね。殺人犯を応援するバカはいないでしょう。
そんな思いで、最新の書き込みを見てみる。
『成美ちゃんが!そんな!これ、何かのまちがいだよね!』
『成美ちゃ~ん!嘘だと言ってくれ!』
『成美さん。映画の撮影か何かでしょ?』
ごめんね~。これ、全部真実だよ。
笑みをこぼしながら毀れる独り言……。
嘘でしょ……。
何、この書き込み……。
『成美さん。クレイジージョーとの対決、頑張って下さい。絶対に勝って下さいね。応援しています!俺にとっては、成美さんは永遠のアイドルですから』
名前はジョーカーとなっていた。
ジョーカー……。
過去を改めて見返してみる。
熱心に書き込みをしてくれている。私からの返信なんてないのに……。
私はジョーカーのサイトを覗いてみた。
私の撮影会の情報やDVDの販売情報の記事の転載、私の画像がたくさん掲載されていて、私のホームページのようになっていた。しかも、他の娘のことが載っていない。他の娘を応援している人、たくさんいるのにね。
また、彼は廃屋に興味があったみたいで、廃屋や使われていない倉庫の写真もたくさん掲載されていた。
最新の掲載内容を見てみる。
使用されていない倉庫のような感じの写真が載っていた。
画像を良く見て行くと、そこに人影が映っている。顔は編集機能を使って、分からないようにしてあるが、痩せた黒ずくめの男が映っていた。
コメントを読んでみる。
『イケ面さんが映ってしまいました。場違いだと思いつつも、イケ面さんだったからイメージ的に良かったので残しました。本人の承諾を得ていないので、こちらでは顔を隠します。』
掲載された日付を確認してみる。
私がクレイジージョーに挨拶をした日から数日後だ。しかも、テレビのニュースで報道された日の二日後。
間違いないよね。
これ。
こいつがクレイジージョーか。
笑いが止まらないよ。
やっぱり、持つべきものはファンだよね。
しかも、私が犯罪者なのに応援をしてくれているクレイジーなファン!
私は世の中と繋がる事の無いスマフォでこのパソコン画面を撮影して、薄暗いネットカフェから退散した。
クレイジージョー。お前の次の殺害を行う場所は、もう特定出来た。お前は短期間で事を済ますタイプだ。
急がないとね。
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