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──ひまりちゃん、あなたの絵も素敵なんだけど.......デビューするには足りないの。だから、この人に書いてもらおうと思ってるの
編集部に何度か原稿をもって、足を運んでいたある日。
荻野さんに言われた言葉だ。
キューくんと呼ばれるその人の絵は、男性だけど、とても少女漫画に適した絵柄をしていて、たしかにあたしの絵よりも、賞を取りそうな絵に感じた。
荻野さんは、あたしのストーリー力には太鼓判を押してくれていて、ここからあたしと顔も声も知らないキューくんとの二人三脚が始まった。
キューくんがいなければ、あの時の金賞もなかっただろうし、今こうしてあたしがテレビにまで引っ張りだこになるくらい活躍する少女漫画家になったのもキューくんのおかげだ。
「でも、同じクラスだったなんて.......」
あたしはデビューしてすぐにテレビにでていたし、顔はバレていた。
だから、片方だけが顔をしているというどうにも不公平な形の二人三脚だったんだ。
どうせなら、荻野さんに言って、身分を明かして欲しかったなんて、ただのワガママなんだろうか。
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