運命の人はきっといる!…この世界のどこかには

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「八森ー。私が男だったら、あんたみたいな健気な子、間違いなく嫁にするのに」 「あ、ありがとうございます」 「あんたはさー、結婚したいんじゃなくて、恋がしたいんだよね?」 「そうです。やっぱり好きな人と結婚して、ひとつ屋根の下に暮らしたいので」 真面目腐った顔で、栞は古風な少女漫画のようなことを言う。 美人なのに、スレてなくて。 無表情なのに、ロマンチスト。 ギャップに萌えるとこだと思うんだけど、紹介所に来るような男って、モテないのが多いだろうからなー。 栞の良さに気が付く前に、愛想の余りの無さに、気に入られなかったと早とちりして、向こうから断ってしまうのだろう。 誰だって、断られるよりは、断りたいし、気に入られなかったら、自分もその相手を好きにはなれない。 特にプライドの高い男ほど、そういう傾向だと、玲香は思う。 ――もったいないわよね。
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