自分とは真逆の人

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自分とは真逆の人

週末が栞は苦手だ。 何をしていいかわからない。特に興じる趣味もなく、共に出掛ける友人もいない。 毎日決まった時間に家を出、同じルートで通勤する平日の方が、することが決まってる分、よっぽど気が楽だ。 家族も栞が30歳になるまでは、「恋人の一人もいないの?」なんて、冗談交じりに訊ねていたが、最近は交友関係に触れられもしない。 腫れ物に触るような扱いで、家にいても息が詰まってしまう。 今日もそうだった。 朝食を済ませ、家族で可愛がっているコーギーのブラッシングをしてやると、急に暇になってしまった。 衣替えは先週あまりにお天気がいいからやってしまったし、部屋は昨日、隅から隅まで綺麗に掃除した。 「お母さん、私、ちょっと出掛けてくる」 と出てきたものの、特に行く場所はなく、ふらっと近くのコンビニに入った瞬間、栞は大きく目を見開いた。
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