好き。は小さな嬉しいの積み重ねby蓮見玲香

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「蓮見さん…と、花音ちゃんだったよね、こんにちは」 去年は蓮見の腕に抱かれてた女の子は、今年は浴衣を着て、蓮見の手をしっかり握って立っている。 「なんか食べた?」 「いえ。今。来たので」 「バーベキュー行こうか、花音。お肉じゅーじゅー焼いて食べよ?」 「うんっ」 蓮見が歩き出すと、花音もとてとてとその後をついて歩く。赤からオレンジにグラデーションの入ったへこ帯が可愛い。 「今年は浴衣の女多いよね」 小さく切ったお肉を花音に食べさせながら、蓮見はうんざりしたように言った。 「そうですか?」 特に気にしてなかった栞は、ぐるりと周囲を見回した。 けれど、特に通常と比べて変わらない気がする。視界に入った浴衣姿の女性は2人だけ。それも、両方とも、50代の管理職の女性だった。 「あっちに集中してんのよ」 注目する方向が違うとばかりに、蓮見は屋上の角を指差した。 「あ」
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