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「そうなの、僕との相性は良くないみたいなので、って…、お断りの電話がありました」
栞は黙ってそれを聞いていた。
やっぱりダメだったか。予想はしていても、落ち込む。だが、こんなやりとりも既に10回を越えていると、自分の中で折り合いがつけられてしまう。
「先方は、八森さんも三上さんのことが気に入らなかったんじゃないか、って言ってたけど…そんなことはないわよね?」
「……」
こういう抽象的な質問が、栞は苦手だ。
気に入る、気に入らない。
好意を抱く。敵意を抱く。
世の中の人は、そんなにも目の前の相手に、感情を剥き出しにしているのだろうか。
無口無表情無愛想。
三拍子揃った栞は、大抵初対面の相手に、似たような感想を抱かれる。
怒ってる。機嫌が悪い。楽しくなさそう。
本人には至って、そんなつもりはないにも関わらず、だ。
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