1824人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなつもりは無かったですが、先方に不愉快な思いをさせてしまったなら、謝っておいてください。またいい条件の人が上がりましたらお願いします」
結果がハッキリした以上、更なる会話は不要だとばかりに、栞は通話を打ち切ろうとする。
だが意外にも、電話の向こう側の人は、更に食い下がってきた。
「待って、でも 八森さん、失敗続きでしょう?
アプローチの方法を変えた方がいいんじゃないかと思うの」
「と言いますと?」
「いつも一対一で会うところからスタートしてるでしょう? そうじゃなくて、うちの会社でも会員の方を集めて、バーベキューしたり、キャンプに行ったり、そういう非日常のイベントを通じて、パートナーを探す…そういうのやってるの。次はこっちにチャレンジしてみない?」
冗談じゃない。
相手には見えないとわかっているのに、栞はスマホを耳に付けたまま、頭を横にブンブン振った。
最初のコメントを投稿しよう!