恋愛が苦手です

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「そんなつもりは無かったですが、先方に不愉快な思いをさせてしまったなら、謝っておいてください。またいい条件の人が上がりましたらお願いします」 結果がハッキリした以上、更なる会話は不要だとばかりに、栞は通話を打ち切ろうとする。 だが意外にも、電話の向こう側の人は、更に食い下がってきた。 「待って、でも 八森さん、失敗続きでしょう? アプローチの方法を変えた方がいいんじゃないかと思うの」 「と言いますと?」 「いつも一対一で会うところからスタートしてるでしょう? そうじゃなくて、うちの会社でも会員の方を集めて、バーベキューしたり、キャンプに行ったり、そういう非日常のイベントを通じて、パートナーを探す…そういうのやってるの。次はこっちにチャレンジしてみない?」 冗談じゃない。 相手には見えないとわかっているのに、栞はスマホを耳に付けたまま、頭を横にブンブン振った。
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