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「いやいや、八森、落ち込まない落ち込まない。見た目かわいいんだから、絶対いるって」
「何処にですか?」
「こ、この世界の何処かには!」
それ、何の慰めにもなってませんよね。
「つーかさ、あんたみたいに人と打ち解けるのに時間が掛かるタイプは、お見合い形式より、社内恋愛とかの方が向いてると思うんだけどな。どうよ、例えばああいうの」
そう言った玲香の視線の先には、先日転職してきたばかりの男性社員がいた。
鷹野史哉。栞たち開発とは違い、営業課に属している。
何で課が違う人を、栞が見知っているかというと、つまり、それくらい噂になっているからだ。新しく入って来た営業は、めちゃくちゃイケメンだと。
嘘か本当か、彼が入社してから、営業課にわざわざ彼の顔を確かめに、女性社員がひっきりなしに用事を無理矢理作って、現れるとかいないとか。
なるほど、と思うくらい、笑顔が爽やかな人当たりのいいイケメンで、今も女性社員が、彼の周りに群がっている。
そんな人を例に挙げてしまう、玲香の大胆不敵さに、栞は目を向いた。
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