運命の人はきっといる!…この世界のどこかには

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「む、無理です無理です」 「タイプじゃない?」 「私、好きなタイプとか、良くわからなくて…。昔から苦手なんです。手順や決まりがはっきりしてることをこなすのは得意なんですけど、ゼロから何かを見つけたり生み出すのは…白い画用紙に、好きなものを描いて、って言われるのめちゃくちゃ苦手でした」 逆に課題図書の感想文とかは好きだったなーと、栞は小学生の頃を思い出す。 「だから、お見合いみたいに、この人!って決められた人と恋愛をする方が向いてるかと思ったんですが…毎回断られてしまうんですよね」 何でだろう、はは。 栞の空笑いが、社食の白いテーブルに虚しく響いた。 いつも、努力はするのだ。 紹介されて、初めて会う人を、好きになれるだろうか。いいところは、何処だろう。 けれど、栞の努力は空回りで、大抵一度会うと、紹介所の方からお断りの連絡が来る。 その度に、まるで取り柄も長所も一つもないと言われたみたいな気がしてしまうのだ。
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