運命の人はきっといる!…この世界のどこかには

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運命の人はきっといる!…この世界のどこかには

次の日。栞は、昨日のことなどなかったかのように、会社に向かった。 栞は製薬会社の研究員を勤めている。新薬を世に送り出すために、検証と考察、そして条件や化合物を変え、また実験をし、データを取る。 年単位で行われる地道で途方もない作業だが、栞の性格には適っている。チーム性で気心知れた仲間と作業が行われるのもいい。 「まーたダメだったの?」 ランチタイムの社員食堂で、栞の体験談をカラッと笑い飛ばしたのは、同じチームの先輩、蓮見玲香だ。栞よりも3つ年上で、2歳の女の子のママでもある。 面倒見のいい性格で、栞のことも親身になって、相談に乗ってくれる。 「ダメだったんです…」 栞は項垂れて溜息をこぼす。 「蓮見さんのご主人て、大学の同期でしたっけ」 「そう。社会人なったら、出会いないよー言われて、必死でキープした」 「やっぱりそうですよね…」 大学時代にそんな相手の一人もいなかった自分には、生涯恋愛のチャンスは訪れないのではないか。 自分でも極端過ぎる想像だと思うが、ありえそうで怖い。そもそも、31年間一度もないことが、この先に起こり得る確率はどのくらいだろう。
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