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「行方不明になるのさ」
ぞわり、と寒気が私の背筋を駆け上がると共に心臓が早鐘を打つ。額からは汗が吹き出し、その大きな玉がポタリと落ち縁側の床に染みを作った。恐怖が私の脳を支配し、言葉さえまともに出てこない。今の私はまるで陸に打ち上げられた魚のようだ。
「安心をおし。実はこの話にはまだ続きがあるんだよ。」
私は目を丸くし、縋るように曽祖母が着ている着物の裾を握りしめた。
「龍神様は自ら望んでやってきた村娘と貴族様のお嬢さんを深く愛し、最期の時を迎えるまで側に寄り添い続けました……とね。」
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