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「だから、正規の原稿料をくれるんだったら書いてやるって言ってるだろ」
そう言い放つ竹内さんの声は冷ややかだった。
思わず中川さんと顔を見合わせる。
「いや……もう何度も言わせないでくれよ。社員の給料に原稿料を上乗せなんてできるわけ──」
「──はいはい、そこまで」
中川さんがさっと立ち上がって二人の間に入った。
「あのね、ここでそんなふうに騒いでもらってちゃこっちが仕事になんないの」
両手を腰に当てた中川さんには、独特の風格があった。
彼女よりもはるかに背の高い男性社員二人ともがおとなしくなっている。
「一体何をそんなに揉めてるのよ」
ため息交じりの中川さんに尋ねられ、疲れ切った様子で最上さんが説明を始めた。
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