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道しるべ
なんだか外が騒がしくなってきた。
私はペンを持ったまま顔を上げる。
どうやら、廊下で誰かが言い争っているらしい。
(何だろう……)
そう思いつつも私は、雑音を振り払うように頭を振った。
目の前の原稿に集中しなければ。
必死に文字を追い、頭の中で再生する。
けれど耳が勝手に拾う言葉が邪魔をして、原稿の内容が頭に入ってこない。
(──だめだ、ちょっと場所を変えてもらおう)
そう思って立ち上がろうとした時だった。
──バタン。
わが部署──編集部校閲係のドアが開いた。
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