言い訳なんて聞かない

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「就業時間内なので、訂正箇所だけ教えて下さい」 席に着き、透馬に、プライベートな話をしないでと、釘をさす。 「はっ、休憩時間だろ、今。訂正箇所は丁寧に時間かけて詳しく伝えただろう」 亭主おすすめランチがすぐに運ばれた。 美味しそうなお寿司と茶碗蒸しに、筑前煮とほうれん草のお浸し。 箸を割り、頬張る。 あまりの美味しさに感動した。 「あいかわず、美味しいものに弱いな」 透馬とランチに来ていたのを忘れて、食に夢中になってた。 「わたしをランチに連れ出して、何が言いたいの?」 箸を止め、透馬を睨んで言った。 「記念日を台無しにした謝罪。なあ、百花、別れるの考え直してくれないか。あの日は部下が仕事を辞めると言い出し、ひきとめるために、飲みに行ったんだ。俺には百花しかいないんだ」 透馬が、わたしの瞳をじっと見ていう。 この目に弱くて、いつも許してきた。 でも、もう許さない。 「……もう、無理。透馬とは、やっていけない。ここ3年間ぐらい、わたし、放置され続けられた。だから、無理。わたし、もう、戻るね」 美味しいランチを完食し、立ち上がろうとした。 そしたら、わたしの腕を透馬が掴んだ。 「百花、俺は百花と別れたくない。お願いだ。 百花を優先に大事にするから。 携帯電話の着信拒否を解除して、時々でいいから、俺と会ってくれ。 態度で示すから、チャンスをくれ」 必死な透馬の表情に、身動きができない。 透馬に強く握られた右手の手首が痛い。 透馬から解放されるにはどうするか、考えた。 「……友達としてなら、仕事に関して、透馬にわからないところを教えて貰いたいし。 ……休憩時間が終わるから、戻ろう」 透馬は納得してないようだったけれど、わたしをオフィスビルまで、タクシーで送ってくれた。 透馬になんて言われても、復縁する気は無い。 それぐらい、わたしは、透馬に今まで、放置されて傷ついてきた。 もう、恋人には戻らない……。
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