1年A組

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 ゾッと背筋に電流が走り、結衣は何かを感じ取る。  毛穴という毛穴が開き鳥肌が立つ。 「や、イヤッ……」 「ボクゥァ、君が好きだ―――――――――ッッ」 「いぃぃ~~~やぁぁ~~~~~~~~~ッ」  盛りの付いた犬のようにハァハァと結衣にバラを掲げ飛び掛る輝瑠。  普段大抵の男共に対しては強気に一掃する結衣であったが輝瑠に対してはどうもそうは行かない。  輝瑠は本物なのだ。  結衣を男と知り、それでも己が気持ちを突き進む痛い奴なのだ。 「俺は男だって……」  輝瑠から逃げる結衣だったが狭い教室では上手く走る事も出来ない。 「ーー言ってるだろうが~~~~ッ」  結衣の怒りゲージはマックスを越え、 「君が好きドゥグラァァァッッ」  振り返り際に迫る輝瑠の鳩尾に拳を捩じり込ませた。  捩じり込ませた拳は瞬発敵に輝瑠の体から離れ、ブンブント空を切る。 「はにゃ~~~ッ!!  どうしよう太郎、ヒカルに触っちゃったよ」 「…………手を近付けるな、感染する」  宙を舞い地面へと転がる輝瑠をまるで病原菌かの様に距離をとり、次亜塩素酸ナトリウムを振りかける。 「て、照れなくても良いのだよ、ユー君!  さぁー僕と一緒に――」 「誰が照れるか誰が!?」  地面に背を向け何事もなかったかの様に白いバラを天に掲げる輝瑠に結衣は身の毛がよだつのを感じた。  バイセクシュアル。つまりは両性愛に対し否定するつもりはない。  ただこちらに火の粉が飛ぶようなら全力で振り払うし、何より輝瑠が受け入れがたい。  ただただ気持ちが悪い存在でしかない。  輝瑠が結衣に向ける異常なまでの執着。アプローチに対し、結衣は全力で否定する。 ガラッ―― 「ユイ朗報よ!!」  結衣が輝瑠の存在を無かったことにしていると、勢いよく扉が開かれズカズカと教室に入る明日香。 「ホームルームを出ずに何所行ってたんだよ?」  今更ではあるが、ホームルームには出ていなかった輝瑠と明日香も結衣と同じ1年A組だ。
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