花園学園の怪談話

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花園学園の怪談話

 2畳ほどの小さな個室。  シャァァァーッとシャワーが流れ、立ちこもる蒸気はそのまま換気扇へと吸い込まれていく。 「ふふふ~ん、ふふん、ふふふふ~~ん♪」  小さな個室に自身の歌声を反響させ、ヒトカラ気分を味わいながらピチャピチャと滴る水をサッと切り、水に反射し輝くブラウンの髪をタオルで包みこむ。  そのままたちこもる湯気の中へとその足を伸ばせば思はず口から「ふぅー」と息が漏れた。 鼻歌混じりに、九州が誇る別府温泉、お手軽に家庭で味わえるお徳用缶から入浴剤を投入すると、安城結衣は満足そうに頬を緩める。  時刻は18時。  夕食を前に家に着くなり荷物を自室に投げおき、風呂場の掃除。そのまま湯を沸かしての入浴タイムは結衣の毎日の楽しみであり、日課だ。  極め細やかな甘い白桃の様な肌は乳白色の湯に包まれピンク色に染まり、一日の疲れも癒されると言うもの。  思はず鼻歌がヒトカラに変り、更には浴室がコンサート会場へと変わるのも至極当然な事ではなかろうか?  気持ちも解放され至福の時間なのだから。  そして魂のまま熱唱する結衣のコンサートはいつもの様にアンコールの一曲で幕を閉じ様としてーー
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