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「叩き台とはいえ、この様な内容のものを審議される状況に至らせた不徳を、炭鉱労中央執行委員として、お詫び申し上げます。八次政策の一千万トン体制は、七次政策下での事故の続発で国内炭二千万トンを確実に供給できないと鉄鋼業界に見限られたのも引き金ではないと認識しております。ユーパロ新鉱再建闘争につきましては、産炭地以外の市民の皆様に国内炭の重要性を十分に浸透させられず、燃料資源庁を追い詰めるに至らなかったのが敗北の原因だと考えております」
と、炭鉱労中央執行部として、どう総括しているのかを答える。
中央執行委員の詰問に対する答えを聞き、組合員が、
「炭鉱労には、政策を引っ繰り返せる見込みはあるのか?見込みがないのなら、次善の策は用意しているのか?次善の策を用意しているのなら何を引き出すつもりなのか、答えていただきたい」
と、勝算はあるのか、勝算がないのなら、何を妥結の条件にするのかと聞いてくる。
炭鉱労にまだ力があった頃ですら、政策転換闘争で勝利をつかめなかったのに、石炭政策による合理化旋風で多くの仲間を失い、勝利をつかめる見込みはない。
「政策を引っ繰り返せるかは、未知数である。炭鉱労の力だけでは、不可能だろう。海外炭の輸入に窮するとか、原子力発電を続けられるような事態が起きないことには、流れを変えること困難と思われる。引っ繰り返せないとなれば、閉山交付金の増額、再就職支援のために職業安定所の臨時出張窓口を最寄り公共施設か組合事務所内に開設すること、炭鉱離職者求職手帳の対象外の者に対する緊急雇用創出事業の実施を要求する」
中央執行委員が、政策転換の勝算、引っ繰り返せない場合の要求事項を説明する。
石炭政策がエネルギー対策ではなく、地域経済対策と言われるまでになった現状で、貴重な純国産エネルギーの国内炭を守ろうと言っても、響かないだろう。国内炭を守れと儀式的に政策転換闘争を行い、燃料資源庁の庁舎内で閉山交付金の増額、再就職支援、緊急雇用創出事業の実施を引き出すのがやっとだ。
ある組合員が、
「炭鉱労は勝利か、事実上の敗北化の二者択一しか考えていないのか?閉山交付金制度終了前に閉山して退職金を支払い、一回雇用関係を清算し、規模は小さくしないといけないかもしれないが新会社で再雇用して、再操業することは出来ないのか?国は石炭政策終了後のヤマの存続を絶対的に否定しているわけではないから、ユーパロ新鉱の時に叶わなかった閉山後に新会社で再操業と言う手立てがあるのでは」
と、実現こそしなかったが、燃料資源庁が自らの口から発した閉山後に新会社で再開発と言う、閉山でも、閉山後に新会社での時限的操業とも違う、第三の方法を提案する。
閉山しないで無理に操業を続ければ退職金を支払うめどもなく八方塞がりになる悪夢から逃れられ、閉山後に時限的操業と言うほんの少しの先延ばし案とも違うし、ユーパロ新鉱の閉山時に燃料資源庁が持ち出した方法だから、前例主義の中央省庁の官僚が飲まざるを得ない。
ユーパロ新鉱の時も、燃料資源庁の発言を逆手に取ったウルトラシーを捻り出した切れ者が道庁にいたが、まさか組合員からユーパロ新鉱方式で操業を続ける妙案が出てくるとは思ってもいなかった。
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