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夜、興奮していたのか、なかなか眠りに就くことが出来ずに窓から星空を見ていた。新月の夜は暗く、繁華街から離れたこの場所は、都会でも明りが少なく星が良く見える。
突然スマホが鳴った。着信を告げるコール音、ディスプレイの表示は彼女だ。
夜中に話でもしたくなったのだろうか――僕は笑みをこぼしてからスマホをタップする。
耳に当てたスマホからは、聞こえるはずの彼女の声は聞こえず、なにやらがさがさとカラスがゴミを漁っているような音が聞こえてくる。
その音に混ざって、悲鳴のようなものが聞こえた。そして――
【司君、助けて――!】
切れた。聞き違えることのない彼女の声――助けを求めるこの声に弾かれたように、僕は部屋を飛び出した。
GPS機能を使って彼女の場所を確認しながら車を走らせる。どうやら彼女がいるのは彼女の家の近くらしい。
あれから何度コールしても電話はつながらない。幸いなことと言えば、電源が切られていないことだ。
時刻は午前2時。こんな時間に、彼女はどうして外にいるのか――いったい、何が起こったというのか……。
僕はアクセルを踏み込んだ。
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