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赤ちゃんはとても愛らしく素敵な存在だ。自分の子供なら尚更。
かと言って四六時中、ずっと親子で過ごすというのはものすごく辛い。辛い時がある。
うちの近所に昔保育園だった所を改装して、子育て支援センターが出来た。
子供が3ヶ月の頃からほぼ毎日通っている。
支援センターという名前だが、特別何かする訳ではない。もちろんちょっとした親子イベントも無いことはないが、大体平日は保育園や幼稚園に行く前の子供と親が遊びに来て自由に遊んで帰っていく、ただそれだけだ。
田舎で共働き日本一、早くに保育園に入れる家庭が多いから支援センターを利用する人はそんなに多くない。
なので特に面倒な派閥がある訳でもない。私のように知り合いの殆どいない人間でも、居合わせた人と適当に喋る、広く浅い人間関係を築くことができるのだ。
その日も私は午前中から息子を連れて、支援センターを訪れていた。
おままごとの食材を熱心に切り刻もうとする息子を眺めながら、ぼんやりと昼食と夕食を考える。ついでに冷蔵庫の中身にも想いを馳せる。
玄関が少しざわついた。始めてセンターを利用する人が来て、職員が利用の説明をしている声がする。
3ヶ月の赤ちゃんを抱っこした若いお母さんだった。
年齢はまだ20代前半、見ようによっては10代にも見える。抜けるような白い肌。整った容姿。華奢な体格。
そして、彼女の髪は見事なプラチナブロンドだった。
小さく会釈して入ってきた彼女に、その場の大人達だけが黙り込んだ。
彼女はその沈黙をどう取ったのか、口元だけで少し微笑んだ。
☪︎*。꙳☽・:*✩.*˚
「あれはないわぁ」
彼女が帰ってすぐに口を開いたのは、3歳と2歳の息子を持った平田さんだった。
彼女は自らの短髪の髪に手をやりながら続けて言った。
「いくら若くても、あれはないってぇ。なぁ?」
話を振ったのは仲良しの亀谷さんだ。彼女は3歳の息子と1歳の娘持ちだ。
「そうよね!ヤンキーってやつ?あんなのが母親とか」
おー怖い。血気盛んな事で。
私は隣で繰り広げられる平田さんと亀谷さんのコケ下ろしを何ともなしに聞いていた。
確かに奇抜な色かも。でも、とても綺麗な色だった。
そんな事を考えながら、息子の小さな手に人参の玩具を渡した。
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