発見

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発見

 学校の帰り道、いつも同じ道で立ち止まっている女の子を見かけた。  何を見ているのだろうと、気になった私は彼女の視界の先にあるものを見てみた。すると、道端に銀色の綺麗な花が生えていた。  いつからそこにあるのか分からないが、彼女はいつも決まった時間、その綺麗な花をジッと見つめ続けている。  不審者が出るという噂があるのを思い出し、声をかけようとしたが、一心不乱な彼女の姿に邪魔をするのは悪いと思い、いつも声をかけられなかった。  どんな花なんだろう。  詳しく見てみたい気持ちになった私はチラリと横目で盗み見る。  色や形はスノードロップやスノーフレークと似ているが、花弁は俯いておらず空に向かって咲いている。灰色のような色だけど、光にあたると銀色のようにも見える。  花には多少詳しい、私でも見たことがない種類だ。  その日は、家へ帰らず図書館で図鑑を片っ端から調べてみたが、それでも分からない。 先生にスマホで取った画像を見せてたが答えは得られない。  翌日私は、もう一度、花を見ようと彼女と同じ道を通る。  すると、大勢の警察官が道路を封鎖していた。  何があったのかを聞くとトラックがアパートへ突っ込み、死者が複数出たようだ。  花を見つめていた、あの子がもういないと知ったのは翌日のニュースだった。  気の毒だと思いつつも私はもう二度とあの銀色の花を見ることができないのだと悲しい気持ちで胸が痛かった。  意気消沈で帰路に着く私の視界にあの銀色の花が映った。  私の気持ちは一転し、一気にテンションが最高潮となる。  寝るのが惜しいが、明日も朝は早い。  学校から帰って来たら、いっぱい写真を撮ろう。  激しい動悸を無理やり押さえ込み、私は眠りへと着いた。
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