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「な、なんだ!?」
声はどこからともなく直接俺の脳内に話しかけてくるようだった。
『さぁ、答えなさい…。 あなたはどちらを落としたのですか?」
そんなの決まっている。
「俺が落としたのは…。 仲間の! 皆を助けるために戦った友の! 鉄の斧だぁぁぁ!」
叫んだとき、泉の中から金色に光る水柱があがり、俺へ向かってくる。
周りの獣たちも驚いているのか、その場から動こうとしない。
『正直者よ…。 あなたは何を望みますか?』
何を? それも答えは決まっている。
「力を…。 皆を守れる力が欲しい…。」
俺の答えを聞いたのか、水柱は俺の身体を包み込む。
なんて、暖かく心地よいのだろう。 そして、水は口や耳の体中の穴という穴から俺の身体へ浸透していく感じをうけた。
『握りなさい。』
何もない右手に力を入れる。 すると、水の中を漂っていた金色の粒子が集まり、一つの黄金の斧を創り出した。
俺は更に力を入れると、包まれていた水は弾け、地面に両足をつける。
もう疲れや、息の乱れはない。 それまで黙っていた獣たちは一斉に吠え出し、俺に向かって一直線に攻め立ててきた。
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