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勢いよく突っ込んできた数体の狼は、何がおきたのか、走りながらその姿をただの肉塊へと変える。
俺は自分の背後へと視線を移すと、そこには自分の身長の倍はあろう、水の塊が浮かんでいた。
その塊は次第に姿を変え、ついに女性のような姿に変わると、手を天に掲げ、いくつかの水の球を空に放つと、空中で破裂し、その飛沫が降り注ぐが、敵に当たりそうな瞬間に水は氷の刃へと変わり敵を一掃した。
「嘘だろ…。」
あれほど囲まれていたにも関わらず、敵は一撃で全滅し、残っているのは俺とこの水の存在だけだった。
そして、役目を終えたのか、その存在は姿を戻しまたおれの体内へと戻っていく。
「どうなってるんだ…?」
詳しいことを調べたかったが、それよりも先に村人の安否の確認が先決だ。
俺は顔を横に数回振ると、また勢いよく走りだす。
西側の森に入って数分後、背中に嫌な汗があふれ出す。
村人が逃げる足跡に混じって、敵の獣の足跡も見受けられる。 それだけなら、まだ護衛がいるので心配ないが、ある距離に到達した瞬間、獣の足跡は急激に増した。
「ちくしょう! 待ち伏せか!?」
「あいつら、ワザと西側を手薄に、この森へ俺たちを誘ったのか!? 最初っからこっちが本命。」
「だったら、敵の本隊も…。 やられた!」
更に足を速め、奥に進む、途中護衛の何人かの死骸と、村人たちが逃げまどったであろう、大量の血痕が見え始める。
そして、森を進んだ先に少し開けた場所がありそこで見つけたのは…。 村人たちの死体が一か所に集められている。
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