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 残った敵は、大将が死んだことにより散り散りに逃げまどい、視界に入るのは、先ほどまで生きていた仲間たちだけだった。  俺は村に戻ると、焼けた柵を避け土を掘る道具を手に持つと、また皆の元へ急いで戻る。  一人、一人、丁寧に埋葬していく。  骨だけになった人、誰か判別できない人、一緒に時間稼ぎをしてくれた自警団の仲間も、全員だ。  一週間かけて、埋葬が終わるとまた水の存在を呼び出す。  そして、村に残っていた花の種を埋葬した人たちの元へ植えていく、そして念じた。  「水をくれ…。」  背後でわずかに動く気配がすると、すぐに霧のような雨が墓を中心に降り注ぐ。   ほんの僅かな空間だけ、その時は雨だったのだ。    しかし、すべての人の埋葬を終えると、僅かな希望も生まれた。  それは、人数が少ないのだ。  ほとんどが亡くなってしまったが、まだ生き残っている人たちがいる。  その中には、俺の婚約者であったマーサの姿は無い。  この淡い希望を胸に、俺たちは霧の雨の中から抜け出す。  斧には布を巻きつけ、背負いながら西を目指す。  「絶対見つけてやるからな…。」  俺たちが進む先には、まだまだ濃い森が立ちはだかり、どんな危険が待ち受けているかわからない。  しかし、明確な目的がある。 だから、俺たちは旅にでるのだ。  
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