反撃

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反撃

 先頭は大きな猪一体に、右翼に狼二体、左翼側に一体と、俺を囲うように攻めてきた。  足を踏ん張り、まずは正面の猪と対峙する。 敵は渾身の突撃を繰り出してくるが、俺は斧を盾にその突撃を耐える。  まるで、自分の身体ではなくなったような感覚がした。 金色に光り輝く斧は軽く、自分の内部から力があふれ出てくる。    「ふぅん!」  突撃を止めた勢いで、猪を弾き返すと、その反動を利用して上から一撃脳天めがけて振り下ろす。  また同じように牙で受け止められるが、まるで紙を斬っているかのように、牙は容易に折れ、そのまま敵の頭蓋が砕けた。    次に左翼の一体が突撃してくるが、右足を軸に遠心力を使って横に一閃、狼は真っ二つになる。  それを見ていた二体は、今度同時に飛びかかってきた。  しかし、左側にあった武器を手首のスナップを利用して、反対側に戻す。  一匹は身体を捻り上手く回避したが、残りの一体は容易に首が飛ぶ。  「グゥゥゥゥウ…。」  着地した一体は唸り声をあげ、周りを確認すると、体を反転させ森の奥へと逃げていった。  「はぁ…、はぁ…。」  信じられない、通常の斧では手首の力だけでは扱える代物ではない。  それに、息がまったくあがらない、今は興奮して乱れているが、全てに対し自身の能力が向上しているのが伺えた。  動体視力、体力、筋力、全てだ。  一度後ろにある泉を見るが、何の変哲もない泉だ。 そんなことよりも、今はやるべきことがある。  この力ならば、村を救えるかもしれない。  俺は急いで来た道を戻っていく、途中無残な姿になった仲間の亡骸を横目に、俺は駆けていく。  しかし、ここで違和感が出てきた。  敵の数が少なすぎる…。 俺を追ってきた個体も四体と全体に比べるとかなり少ない。  本隊はどこにいるんだ!? 村にたどり着くが、まだ燃えている柵と門があるだけで、生命反応は薄い。  しかし静かに忍び寄る影があった  周囲を十体以上の狼が取り囲む。 しかし、俺の思考は別のことを考えていた。  敵は、敵の本隊はどこだ!?   ドクン…。 ドクン…。   心臓が急激に鼓動を早めてた。    「うぐぁ…。」  痛い、それを見た敵はチャンスとばかりに、数体がこちらに駆けてくる。  「う、うあぁああ!」  背中から何かが抜けるような感覚があり、俺の肩に冷たい何かが触れた。
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