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2.9月14日 相野幸子|僕は誰?
今日もあの子はいつも通りに学校へ行った。
いつも通りの時間に起き、いつも通りに朝ご飯を食べ、いつも通り「行ってきます」と小さく言う。
私はその背中に向かって「いってらっしゃい」と明るく声をかけるだけだ。
いつからだろう? あの子が寄り付かなくなったのは。あまり話してくれなくなったのは。
いつまでも甘えてくるのは問題なのだろうが、私にとってはいつまでもかわいい子供だ。
私は、中学生くらいの頃から掃除をするのですら断られたあの子の部屋のドアをそっと開けた。
主人は仕事に行っているし、他に同居している人はいない。私のこの行動の妨げとなる存在は何もないのだ。
思春期になって、『そういうもの』を見られたくないのだろう。一時期心配になるほど証拠品を見つけたことがあるが、最近は落ち着いているようだ。
いつものようにゴミ箱の中までをチェックし、入ってきた時と同じ景色に戻す。
それは、毎日していることだった。だから、今日も同じようにできると思った。
けれど私の思考と行動は、机の中のある物を見て、全て停止してしまった。
何でこんなものをあの子が持っているの? 一体いつから? それにこの写真の示すことが本当なら──私はその恐怖に手も声も震える。
「何よこれ……誰なの、この女」
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