父子の七月七日

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派手さはないが、三人の家族はゆっくりと時を重ねる。幼稚園のイベントなどで大知くんのお父さんと呼ばれると智は照れるがやはり嬉しいのだ。 大知の誕生日やクリスマスに素直にリクエストを聞いて、ゲームを買って一緒に夜更かししては、優里は呆れたように智と大知を並べて説教をする。 項垂れているようで優里が背を向けるとお互いに笑い合う二人に更に優里は呆れてしまうのだ。 「なんて悪友なの!」 優里はそう叫ぶが智と大知はどこ吹く風。智が帰宅すれば大知は飛び付いていくし、寝る時も優里が呆れてしまうような好みの女の子の話を揃ってしていた。 優里にとって呆れることは多々あったが、智と一緒になって良かったと思うのもそんな時なのだ。 再び七月六日の夜。智は去年と同じように優里と大知を連れて、星空を見に車を走らせる。 大知は車に乗るなり寝始めて、夜に備える。 大知が眠ったと思っている智と優里は大知の話をする。 「大知、勉強大丈夫かな?」 優里の不安は翌年の大知の入学。智とふざけている姿ばかりを見ているから不安だ。 「大丈夫だよ。大体、勉強が一番じゃないんだから。それより大切なことがあるだろ」 「全く悪友の智は、大知を庇うよね」 「当たり前だろ」 冗談混じりに智が笑えば、優里も笑う。 大知が寝たふりをしていたのは、智も優里も気付かなかった。
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