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 そもそもさ、今からコンテスト始まるってときに体育館の舞台袖にいるこいつ、男装してる女だし。  下級生だよな、俺より背ぇ高い、腹立つ。 「いや気が合ってもおまえ、俺みたいな女の子じゃねーだろ。あきらめろって言ってんだよ」 「自給自足してるから間に合ってますってことですか? ナルシストな上に口も悪くて、ますます俺の好みだなぁ」  片手で握手した手を両手で握ってくる。 「おまえは話が通じないのか」 「こういうキャラを演じてます」  正直面白いよ、いいキャラしてる。  けど、おまえ誰だよって話だよ。  知らないやつに手ぇ握られても困るんだよね。  チャラ女は俺から手を離すと、タラシっぽい優男顔になった。 「ブロッククラウンの朱鷺葉(ときは)ちゃん大好きなんですよ。実在するなら彼女にしたいじゃないですか」  なんだ同業者か、でもさ。 「彼女……?」 「あっ、ごめんなさい。彼氏ですね!」  いやいや、これ彼氏にしたいようなキャラじゃないだろ!  それに俺こんなチャラい彼女欲しいと思ったことないからね?  ややあきれていると、文化祭実行委員が次のプログラムの声がけを始める。  一年の女装男装参加者が呼ばれ、チャラ女は、 「じゃあまた!」  とチャオ的な指二本を投げかけるジェスチャーしながら実行委員のとこに駆けていった。  二個下かよ、でけーよ。    コンテストは着々と進んで、そいつが一年七組の宮町(みやまち)花音(かのん)だとアナウンスされた。  一年の中では一番イケてる男装に見えるな、背が高いから。  舞台から下がってきた宮町は待機してる俺の所に来るとニッコリと軽く、ネトゲのアカウント名とチーム名を聞いてきた。  面白そうだから普通に教えた。  同業者なら、まぁ、優しくしとく。
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